ゴールデンウィークの最中、ある一本の電話をその男は受ける。
「○○○高校の△△と申します」
地元高校の進路指導課の先生からの電話である。
その内容はこうである。
「5月末にある進路座談会の講師をお願いしたい。
1時間、どの様な内容でも構わないので生徒たちに話をしてほしい」
以前も同様の依頼を受けたが、その時は仕事上お断りするしかなかった。
それもあり、今回はお受けする事にした。
さて、仕事などでプレゼンテーションをする事はあるが、
相手が高校生となると初めてである。
何を話そう。自分が高校生の頃に大人の話に耳を傾ける事などあったろうか?。
無いはなぁ。。。
仕事上、特にもの作りに関わっているわけでも無く、
この仕事の本質を深く知っているわけでは無い、この男。
依頼を受けたはいいが、本当に困った。
と、語る。
この男、自分が置かれている環境を高校生に語り、
仕事は時代と共に変化している事を話そうと思い立つ。
その男の立てた1時間のプランはこうである。
・アイスブレイク(10分)
・働き方についてプレゼン(25〜30分)
・質疑応答(10分)
そして、この男がプレゼンで語った内容はこうである。
1.高校時代に感じた時代の変化からシステムエンジニアを目指すまで
2.システムエンジニア時代の話
3.谷水加工板へ合流するまでの流れ
4.これからの時代の働き方の多様性
高校生に思いが100%伝わったなんて思っていない。
むしろ授業だから誰か知らないオジサンの語りをまぁ聞くか、ぐらいが正直な所だと思う。
ただ、生徒の1人だけでも何か伝わったなら、登壇した意味もあったのでは。
自分を振り返るいい機会であり、こんな機会を頂いた先生に感謝する。
経験する事の無い、面白い機会だった。
と、その男は語った。
その男が高校生だった約20年ほど前。
大人の話なんて面白くもなく、関わっても面倒で話も通じる事なんて無いと思っていた。
しかしその頃にもっと面白い事をやっている大人を知り、関わりを持っていたら
自分が進んだ道がもっと変わっていたのではと思う。
男は進路指導の先生に、こう話したという。
この男が登壇を終え、帰社する時に激しい雨が降っていた。